マイホームに憧れる気持ちを考えてみる

結婚したら。

子どもが生まれたら。

マイホームを35年ローンで購入する。

 

会社の同僚も、親戚も、友人も、みんなそうしてる。

いつまでも賃貸に住んでいると、

「マイホーム買わないの?」と聞かれる。

みんなが当たり前のように憧れるマイホーム。

 

私の住む地方都市では、50~80坪の土地に一軒家。

建て売りなら3,000万~4,000万

注文住宅なら4,000万~5,000万が相場。

駅近マンションなら5,000万前後ってところでしょうか。

車はワンボックスカーに軽自動車の計2台持ち。

夫は40代会社員で年収500~700万。20時前後帰宅。

妻は扶養範囲内でパート。子どもは1~2人。

子どもは中学生頃から塾通い。習い事もして忙しい。

これが最も周囲に多い典型的な一般モデルです。

 

会社の同僚も、ほぼ上記に該当します。

30~35歳前後で第一子が誕生するので、ローンは定年くらいまで。

そして私世代の同僚には兄弟姉妹がおり、同じようにマイホームを購入。

その両親世代も車で30分圏内程度に一軒家がある。

 

ほんの1年ほど前、私はマイホームに関してこう思っていました。

「30代でマイホームを購入したって、30年で大幅リフォームが必要。

そうするとローンが終わる頃にまた1,000~2,000万必要ってことでしょ。

その間にも外装の塗装し直し、屋根や水回りのリフォームが10~20年ごと。

ローンの返済をしながら、リフォーム代を貯め、更に30年後のリフォームや

最悪家の建て替えを考えなきゃいけないわけでしょ?

そんな頃にはローンも組めない。老後資金も必要。みんなどうするつもり?」

と、30代で3,000万前後のローンを組む同僚に対し、

みんな本当に勇気があると、心底関心したものでした。

 

私なら、子どもが独立するまでは、限りなく安めの賃貸に住み、

収入や環境に合わせ引っ越しができるよう自由を優先し、

その間にコツコツとマイホーム資金を運用して増やし、

60~70歳くらいで、夫婦二人だけで必要な間取り、

掃除も楽で、荷物も減らし、光熱費やリフォームの事も考え、

平屋の1LDK程度の家を、物価が今のままだとしたら1,500万で建てるだろうと。

ちなみに土地は、私の場合親が他界すれば必ず残ってしまうのだから、

新たに「所有」する必要はなく、なんなら親の家を建て替えればいいと。

もしくは駅が近い中古マンションを1,500万程度で購入もありだと。

もちろん現金で。

 

30代で購入したら、それが最後じゃないんだよ?

10年ごとに100万単位のリフォーム代はかかるし、

30年後には大幅リフォームで1,000万単位のお金がかかるんだよ?

固定資産税だってかかるし、大きな家を建てれば、

なぜか不思議とそれなりに大きな家電や家具を買ってしまうし、

将来子どもがいなくなれば、不必要な部屋が物置部屋となるだけ。

 

そんな思いを、少し前にパートナーに打ち明けたところ、

返ってきた答えはこれでした。

 

「みんなそんな先のこと考えてないよ。

結婚して子どもが生まれたら家を持つ。

ローンを組んで仕事を定年まで頑張る。

それが普通、それが当たり前。疑問もない。

みんながそうしてるから、そうするだけ。」

 

「えーーーーーーーーーーーーー!

それって何も考えてないってこと?」

と、私は頭が一瞬混乱しました。

 

そしていろいろ考えてみたんです。

毎月ポストに入ってくる無料の地域情報紙。

この内容、3割くらいがマイホームに関する内容でした。

仲睦まじい夫婦に小さな子どもが楽しそうに生活する写真と共に、

モデルルーム開催の案内がずらり。

本屋に行って雑誌を見ても、実家でテレビをつけていても、

住宅関連の広告の多いこと。

 

こりゃさ。そういう思考になっても仕方ないよね。

30年後のリフォーム資金なんて考えないよね。

30年後子どもがいなくなった後に、大きい家は掃除が大変とか、

無駄に増えた物を置くために固定資産税を払うことになるとか。

自分のローンの支払利息が、金融業界の人に給料を払ってあげてるとか、

そんなこともきっと、考えないんだね。

 

パートナーの周りも9割以上がマイホーム購入済みらしいけど、

なんか理由を聞くと、賃貸だとかっこ悪いとか、

子どもが走り回るから賃貸だと周りに迷惑だとか、

そもそもマイホームを買うことが子どもの頃からの夢だとか、

そんな理由みたい。

しかもなぜか、ローンを組める金額を目安に住宅購入を考える。

自分にとって必要な大きさや将来の金融設計よりも、

「お客様ならこれくらいローンが可能です」

その言葉で、住宅購入価格を決めちゃう人もいるとか。

 

この世の中、頭の良い人たちはよくこの仕組みを作ったと、

私は感心を通り越し、ある種の感動すら覚えます。

 

借金ができるようになったのも、長い歴史を考えれば最近のこと。

借金ができちゃうようになったから、みんな際限なく物を欲しがり、

金融業界、不動産業界は産業の中でもおそらく国は重要視しており、

GDPを名目上良くするために、みんなに物欲を持ってもらい、

借金してでも、消費する社会を作り上げていく。

そのためにテレビも雑誌も全ての広告が作られていて...

カード会社もリボ払いや分割払いをどんどん推奨し、

すごい世界じゃないですか?

私はこの社会システムに恐怖すら感じます。

 

なぜみんな疑問に思わないのだろう。

疑問に思わず消費して生きることも、ある種の幸せだと思います。

私は一切否定するつもりはありません。

 

ただ、私はそうやって乗せられてるこのシステムに、

なんだか騙されているような気がしてならないだけです。

欲望、比較、競争、そんな世界が私にとっては苦しいだけです。

際限なく湧き上がる物欲。隣の芝生が青く見えてしまう現象。

こんな苦しい生き方を私はしたくありません。

 

私は、私が本当に幸せを感じることに、

感謝しながらお金を払いたい。

そう思います。

 

それではまた。