人生最後の正社員は35歳で転職した福祉業界の労務関係でした。
福祉業界は給料の安さから、なかなか人材は集まりませんが、
現場ではなく、本部機能の仕事はそれなりに応募があります。
私は留学からの帰国後、語学を活かさず福祉業界に入ったのですが、
それは祖母の介護経験から「福祉は人間に不可欠」と感じ、
自分のスキルを活かしながら、人の役に立ちたいと思ったからでした。
ある程度の規模の会社でしたが、3年目で労務部門の責任者となり、
5年目で本部事務局の管理職に就くことができました。
当時、パートナーと出会って1年程度の時。
子どものことや色々考えお金も必要だと感じており、
とても仕事に燃えていた時期でもありました。
ところがその数ヶ月後に発達障害が発覚し、
ほぼ同時期に「リタイア」特集の雑誌を目にしてしまい、
自分の中の眠っていた心が、再び目を覚ましてしまったというわけです。
自由になりたい。好きなことだけして暮らしたい。
ずっと、実は思ってたけれど実行不可能だと思っていたこと。
でも、この業界で働き安定した給料をもらうようになってから、
元々のシンプルな生活でお金を使うことがあまりなかったため、
私の資産はみるみるうちに増え、実現可能なレベルになろうとしていました。
その時です。
一番邪魔だと真っ先に感じたのが「管理職」というポストでした。
出世の道に入ったのはいいけれど、このままだと辞めづらくなってしまう。
それに既に管理職で自分のプライベートが少なくなってしまっており、
自由を取り戻したいと強く感じていました。
また発達障害が原因で、コミュニケーション能力に若干問題があり、
管理職でうまくやっていける自信も失っていました。
管理職を辞めたい一番の理由は、自由を取り戻すことでしたが、
「早期リタイアを考えていますので、管理職を辞めさせてください」
と本音を言えるわけがありません。
そこで、タイミングよく?発達障害が発覚したことで、
これを理由に管理職を辞めさせてもらおうと思ったのです。
今までこの会社で自ら管理職を辞めた人は誰もいません。
しかも1年もたたず、辞めたいなんて前代未聞です。
他の管理職の方々は嫌だといいながら管理職を続けていました。
でも、管理職を続けていたら辞めづらい環境にどんどんなっていく。
これはこのタイミングを逃すわけにはいかないと感じたのです。
この頃本当は50歳を目標にリタイア生活を送るつもりでしたので、
管理職という出世の道、管理職レベルの給与を捨てる行為は、
この先10年近くこのまま会社にいて後悔しないだろうか?と、
本当に悩みに悩みました。
それでもやはり「自由」を取り戻したい一心で、
管理職会議で思い切って辞めたい意思を伝えたのでした。
管理職1年目で年収にして50万以上、
5年後になれば100万以上の差は平社員とついたでしょう。
それでも私は何より自由が欲しかった。
でも、現実は甘くはありませんでした。
数ヶ月後、無事に管理職を辞めることはできましたが、
管理職を辞めても、一度管理職になってしまったが故に、
業務内容は管理職としての仕事を求められてしまう。
同じように仕事後も上司から電話がかかってきてしまう。
次第に仕事に対しての情熱というものがなくなっていくのを感じました。
そして前以上に「自由」が欲しくなったのでした。
その後の体調不良、休職期間を経て、退職の決断と至るわけです。
管理職を辞めた直後は、
「こんなの私の本当の求めていた自由じゃない」とガッカリしましたが、
まさかこの管理職を辞めたことを1つのキッカケとして、
早期リタイアがこんなに早く実現するとは、
想像すらしていませんでした。
やはり大きく行動したからでしょう。
実現があっという間にできてしまった。
もちろん、50歳近くまで働くのとは資産額は異なりますが、
お金が少し心配になったらアルバイトすればいいか。
と思えることで、正社員という立場を手放すことができました。
そして当面はアルバイトの予定もなく、
のんびり過ごせる現実が本当に実現できてしまったのです。
あの時管理職を辞める決断をするには本当に勇気が必要でしたが、
その判断が間違いなかったと、今はそう思えます。
それではまた。